four seasons〜僕らの日々〜
その本は意外と簡単に見つかった。「女の子に贈るステキなプレゼント」というタイトルだ。表紙には、女の子が喜びそうなかわいいアクセサリーやきれいなブーケの写真が載っている。

図書室では一目もあるため、翔は借りて家でゆっくり読むことにした。

「これ、借ります」

翔は図書室でよく本を借りるため、司書さんとはすっかり顔なじみだ。人とあまり関わりたくない翔も、司書さんとはよく本の話などをしている。

「あれ?翔くん、誰かにプレゼント送るの?家族?」

本を受け取った司書さんは、本と翔の恥ずかしそうな顔を交互に見つめる。

「……バレンタインの日に渡したいんですけど、やっぱり男子が渡すって変ですよね」

早口に翔がそう言うと、司書さんは首を横に振った。

「全然おかしくないよ!だって女の子が男の子にチョコを渡すって、日本だけなんだよ」

司書さんの言葉に翔は首を傾げた。司書さんは話し続ける。

「他の国だと、男性から渡したり、男女がプレゼントを贈りあったりするんだよ!贈るのもチョコじゃなくてカードや花束だったり、日本と全然違うんだよ〜」

「……国によって違うんですね」

少し翔はおもしろいと思った。

「だから、気にしなくていいんだよ!」

司書さんがそう言ってしおりを挟んで本を渡す。
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