four seasons〜僕らの日々〜
翔は少し戸惑いながら、本を受け取った。

「ありがとうございます。……がんばってみます」

借りた本を見つめ、翔は呟く。

プレゼントを受け取って喜ぶ美桜の顔が、翔の頭に浮かぶ。

家まで我慢できずに、翔はページをめくる。翔の知らない世界がそこには広がっていた。



二月十四日の朝。翔は目を覚ますと、昨日かばんの中に入れたプレゼントがあるか確認した。

ドキドキしながらかばんを開ける。そこにはきれいにラッピングされたプレゼントがきちんとあった。

翔はほっとして顔が緩む。昨日、緊張しながらお店に入り一生懸命選んだものだ。

「……喜んでくれるといいな」

美桜に自分の想いを全て翔は伝える気で、このプレゼントを選んだ。この決断は正しいのか翔はわからない。

美桜が笑ってくれるなら、それでいい…。

美桜の泣いた顔、笑った顔を思い浮かべながら、翔は思った。

学校へ向かっていると、いろんな女子生徒からチョコを翔はもらった。先輩、同級生、中には他校の生徒もいた。

「あ、ありがとう…」

そう言いながらチョコを受け取る翔を見て、クラスメートの男子が羨ましげに見つめていた。

「おお〜！モッテモテだね！」

空が後ろから翔のかばんを開け、中を覗く。そこには一度では食べきれないほどのたくさんの手作りチョコがあった。

「……別にこんなものをもらったって、嬉しくない……」

翔が欲しいのは、好きな人からのチョコだけだ。
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