four seasons〜僕らの日々〜
窓の外を見れば、告白して成功したのか、楽しそうに帰る男女の姿が見える。

「……本当は、こうなりたかった」

翔の呟きに答えてくれるものは誰もいない。それが虚しかった。

「……翔くん」

少し緊張した様子で、美桜が音楽室に入ってきた。

「これ…なかなか渡せなくてごめんね。あとあの時、傷つけてしまってごめんなさい。そして、いつもありがとう」

クッキーを翔に渡し、美桜は少し涙を目に浮かべながら言う。

翔の目から、ひとすじの涙がこぼれる。

「えっ?翔くん!?」

翔の涙に美桜は驚き、自分のハンカチを渡した。

「嬉しいんだ。……嫌われていると思っていたから、こんなすてきなものをもらえて、本当に嬉しいんだ。……ありがとう」

翔はありったけの笑顔を美桜に向ける。そして、かばんの中からプレゼントを取り出し、美桜に渡した。

「……気に入ってくれると嬉しい」

「ありがとう。…開けてもいい?」

翔は黙って頷く。美桜はゆっくりとリボンを解き、プレゼントを見た。

「……すてき!」

翔がプレゼントしたのは、アンティーク調の手鏡だ。鏡の裏面には、小さな花がたくさん描かれている。

「ありがとう!大事にする」

そう言って美桜が笑う。思わず抱きしめたくなるのを、翔は懸命に堪えた。
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