four seasons〜僕らの日々〜
美桜は涙をぬぐい、蓮に微笑む。蓮の顔が赤くなっていた。

美桜の頭の中に、懐かしい甘い記憶が蘇った。

「ねえ、初めて会った日のこと覚えてる?」

美桜は蓮を見つめたまま、言った。蓮の目が大きく開かれる。

「初めて会った時も、蓮くんは私をこうやって助けてくれたよね。あの時も、今も、蓮くんは王子様みたいでかっこいいよ!……ありがとう」

あの時出会っていなかったら、美桜は蓮に恋をしていなかったかもしれない。ただ見つめるだけの遠い存在だったかもしれない。そう思うと、あの時の不安な気持ちは、とても大切な贈り物だ。

蓮とあの時出会えたのは、大きな奇跡。蓮と出会って、恋に落ちて、こうして一緒に遊んでいることが美桜にとって幸せであふれている。

「蓮くんに会えて、本当によかった。蓮くんとあの時会えたのはきっと奇跡だね」

蓮との思い出が頭に浮かぶ。甘い感情だけではなかった。苦くて泣いた時もあった。いろんなことを一気に思い出して、美桜の目からまた涙がこぼれた。
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