four seasons〜僕らの日々〜
パレードはとてもきれいで、美桜が言った通り別世界に迷い込んだようだった。

華やかな衣装の人々や、出し物に二人は目を奪われた。

美桜の輝く笑顔や、またはぐれないようにとつないだ手がまた蓮の胸を高鳴らせた。

午後からもたくさん二人は遊んだ。お化け屋敷に行ったり、またコーヒーカップに乗ったり、空の色が変わっていることに二人はなかなか気づかない。

「…もうこんな時間だ」

蓮は腕時計を見た。そろそろ帰らなければならない。

空はオレンジ色に染まっている。夕日が憎らしいほどきれいだ。

本当は蓮は美桜に言いたいことがあった。今すぐにも言いたいと思っていること。それを伝えたら、美桜はどんな表情を見せるのだろう?

「まだ、帰りたくないなぁ……」

美桜が空を見上げ、ため息をつく。

「最後に、観覧車に乗りたい」

美桜がそう言って、蓮の手を引っ張った。



ゴンドラがゆっくりと上がっていく。二人は向かい合って座った。会話はない。

美桜と蓮はうつむき、互いの足元を見つめていた。たまに顔を上げ目が合うと、顔を赤くしてまたうつむく。それの繰り返しだった。
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