four seasons〜僕らの日々〜
「じゃあ、どうして……」

椿が訊ねると、空は顔を真っ赤にしながら言った。

「……椿のことが、誰よりも好きです!俺と付き合ってください!!」

空の目はとても真剣で、椿は本気で言っているのだとわかった。

「え?え!?えええ〜!?」

驚く椿の顔は、空と同じように赤かった。



翔は家で読者をしていた。美桜がおすすめしてくれた本だ。初めて読むジャンルだが、なかなかおもしろいと翔は思った。

ピンポーン、とチャイムが鳴る。翔は本を置き、玄関のドアを開けた。

「初めまして。お隣に引っ越してきた向井です」

優しそうな女性と、五歳くらいの男の子が立っていた。

「……松井翔です。よろしくお願いします」

翔は頭を下げ、微笑む。美桜のおかげで優しく微笑むことができるようになっていた。

「お兄ちゃんにこれあげる!」

男の子が翔にクローバーを渡した。

「クローバーの花言葉、知ってる?」

男の子が訊ねる。翔は「知らない」と答えた。
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