four seasons〜僕らの日々〜
家が近づいてきた。男の子の足はさらに速くなる。

宮野さん!と言おうとして、男の子の足が止まった。

家の前で宮野さんが誰かと話している。その誰かは日本人ではない。金髪で碧眼だ。宮野さんとその誰かが話している言葉は、男の子が聞いたことのない言葉だった。

何も言えず立ちつくしていると、視線に気づいたのか宮野さんが男の子を見た。その顔は驚いたに表情だ。

「どうしてここにいるの?学校は?」

「宮野さん……その人は誰?」

男の子は質問には答えず、逆に質問した。

「……私の婚約者」

「えっ!?」

「私ね、高校生の時にドイツに留学していたの。その時からこの人と付き合ってるの」

ドクン、と嫌な予感がした。

「今日で、お別れをしなきゃいけないの。私は、結婚してドイツで暮らすことになったから……」

男の子の目から涙がこぼれた。少年は、あの時寂しげだったのはこういうことだったんだと思った。
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