four seasons〜僕らの日々〜
「待ってよ!まだ歌はできてないよ!!それに、それに…宮野さんはシンガーソングライターになるんじゃなかったの?」

宮野さんの目からも涙がこぼれる。宮野さんは男の子を抱きしめた。

「黙っていてごめんね。……ありがとう」

そして、宮野さんは婚約者と一緒に行ってしまった。

男の子は泣き続けた。

心は荒れてしまった。地面はひび割れ、緑だった丘は茶色く枯れ果てた。

「ねえ、これ見て?」

お母さんが泣きじゃくる男の子に、紙を見せた。それはーーー宮野さんが作った歌だ。


さよなら さよなら 楽しかった
楽しかったからこそ辛い気持ちで
君が全てを忘れられたらいいのに
君は何て言うのかな?


男の子の目の前が真っ暗になっていく。

その日から、男の子は歌を誰かの前で作ることも歌うこともなかった。
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