four seasons〜僕らの日々〜
「大丈夫ですか?」

その女の子が顔を上げた瞬間、ドキッと自分の胸が鳴ったのがわかった。

涙でぬれている目はとても優しげで、じっと見つめてしまう。

心に変化が起きた。ずっとボロボロだった着物が、きれいな着物に変わった。

女の子の安心したような表情や、つないだ手の温もりすべてに胸が高鳴り、初めての感情に戸惑ってしまった。

その女の子と一緒にいた時間はほんの一瞬。しかし、離れがたくてもっと女の子のことを知りたい、話したい、そんな気持ちが膨らんでいく。

「ねえ、さっきからどうしたの?」

椿ちゃんが何度も不思議そうに訊ねた。

「何でもないよ」

そう男の子が答えるたびに、椿ちゃんは何度もうつむき辛そうな表情になる。しかし、男の子はそのことにまた気づかなかった。
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