four seasons〜僕らの日々〜
花火大会〜悲しい初デート〜
「……う〜ん」

蓮は机の上のメモ帳を見ながら、さっきから何度めになるかわからないため息をついた。

机の上のメモ帳は、蓮が作詞作曲をする時に使うものだ。

「いい詞が書けないな……」

蓮はまた大きなため息をつく。

頭に浮かぶのは、あの時の翔の言葉だった。

『アイツは俺が攫ってく』

八月になってもあの時のことは、まるで昨日のことのように頭の中に再生される。モヤモヤした気持ちはいいフレーズが浮かびそうになっても、すぐにかき消していく。

部屋にあるカレンダーをふと見た時、もうすぐ誕生日なんだ、と蓮は少し驚く。最近はバイトや部活などで忙しく、自分の誕生日などすっかり忘れていた。
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