マスカレード ~素顔の仮面~
「えーっと、あんたが俺の今日の相棒?」
「はいっ」
「可愛いなぁ」

口の周りに生えている無精ひげをなでながら、値踏みするような目線で見られた私は、ムカッときたけれど、今からこの人と一緒に組んで仕事に行くんだと自分に言い聞かせることで、逆に愛想笑いをすることに徹した。

あぁ、慣れない動きに頬が引きつる!

「で、カワイ子ちゃんのお名前は?」
「文月(ふみづき)です」
「俺はカメラマンの後藤。ここじゃあみんなに“ごっちゃん”って呼ばれてるから、“ごっちゃん”と言えば俺と思って」
「は・・ぃ」
「じゃあアヤちゃん、行こっか」
「え?あ、はいっ・・・!」

・・・なんでこの人、私の名前が「彩(あや)」だと知ってたんだろ・・・。


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