マスカレード ～素顔の仮面～

２

車を降りた途端、ムンとした熱い風が、私の体を撫でるように吹きつけた。
梅雨明け宣言が出た後の今日も、外はギラギラと太陽が照りつけて暑い。
でも、ここでバテてはいられない。
復讐劇は始まったばかりなのだから。

ここに・・・。
及川博人（あいつ）がいる。
と思っただけで、お腹の底から力がわいてくるのを感じた。

外の暑さと眩しさに、目を細めていた私は、的（ターゲット）を探すよう、無意識に額に手をかざして、遠くを見つめていた。

「及川博人は今日、プライベートでこの海に来てるという情報を得ている」
「そうですか」
「なんでも友人たちと一緒にバーベキューパーティーの真っ最中のはずなんだが・・・いねぇな。こりゃあ反対側だったかなー」
「探しましょう」

私は、後藤さんの返事を待たずにそそくさと歩き出した。