マスカレード ~素顔の仮面~
あぁ、暑い。
うなじや脇に、汗が伝うのを感じる。
気持ち悪い。けど、汗をぬぐうことしかできない。
お水・・何か、飲みたい。でも今は・・・後で。絶対、水分補給しよう。

でもホント、後藤さんの言うとおり、砂浜を歩くのにスーツに3センチヒールのパンプスって恰好は不似合いだわ。
次回から気をつけて・・・あぁ、直射日光が、頭に突き刺る・・・暑い。

「怒った顔も可愛いな」
「茶化さないで、及川博人を探してくだ・・・」

・・・いた。
ここから数メートル先にいる男性3人のうちの1人――一番背が高くて、茶髪にサングラスをかけてる男性(ひと)――が、及川博人に違いない。

後藤さんの方にふり向いた拍子に及川博人を見つけた私は、急に力を得たように、あいつに向かってズンズンと、一直線に歩き始めた。

ただこのときも、私は周囲のいぶかる視線に気づいてなかった。

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