マスカレード ~素顔の仮面~
体がぐらりと揺れそうになるのをこらえるために、私はその場に踏ん張るように立ち、及川博人の視線を受けつつ、真正面から見返した。
だんだん周りの景色がぼやけていく。
今、ここにいるのは、及川博人と私だけと錯覚してしまいそうな・・・。
頭皮がチリチリと燃えそうに暑く感じてもその場を――視線も――動かず、うなじに伝う汗を拭うこともせず、お互いを見ながら「牽制」すること数秒後。
及川博人がやっと口を開いた。
「・・・あんた誰」
「“スクープ!”の者です」
もう一度言った私は、ショルダーバッグの中に入れていた名刺を取り出すと、及川博人に渡した。
及川博人から視線を外せたことや、バッグから名刺を探すために少しだけ頭を下げることができたことにホッとしたことは、おくびにも出さずに。
この男に弱味を見せてはいけない。
なんだかフラフラするけど、もうひと踏ん張りして、この場を・・初幕を乗り切らなきゃ・・・。
だんだん周りの景色がぼやけていく。
今、ここにいるのは、及川博人と私だけと錯覚してしまいそうな・・・。
頭皮がチリチリと燃えそうに暑く感じてもその場を――視線も――動かず、うなじに伝う汗を拭うこともせず、お互いを見ながら「牽制」すること数秒後。
及川博人がやっと口を開いた。
「・・・あんた誰」
「“スクープ!”の者です」
もう一度言った私は、ショルダーバッグの中に入れていた名刺を取り出すと、及川博人に渡した。
及川博人から視線を外せたことや、バッグから名刺を探すために少しだけ頭を下げることができたことにホッとしたことは、おくびにも出さずに。
この男に弱味を見せてはいけない。
なんだかフラフラするけど、もうひと踏ん張りして、この場を・・初幕を乗り切らなきゃ・・・。