マスカレード ~素顔の仮面~
本採用の契約書にサインを済ませて、内心ホッとしている私が軽く一礼をしたとき、編集長の後ろの窓辺に目が行った。
アルミ製の白いブラインドに溜まっているホコリを見て、なぜか私は安心した。

編集長が「はい、これ持ってって」と私に言って、名刺の束を手渡した。

「もうここまで用意してくださってたんですね。どうもありがとうございます」
「やることキッチリやってくれたら礼には及ばないよ。早速だが。君の“ターゲット(的)”は今、帰国している」
「そうらしいですね。彼のブログに書いてありました」

それで私が試しに書かせてもらった記事が採用されたのかもしれない。
とにかく、タイミングが良いのも運が良い証拠だ。

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