先輩は、甘い。
KUIS 8
「凛(リン)!行くよ!」
「う...、うんっ」
尾川(オガワ)凛、神田外語大学1年生。
数多くある学科の中で、英米語学科に入学して早くも2週間が経った今日この頃。
迷い込んでしまいそうな程の広さの大学で、私は8号館の『KUIS 8』という場所に足を運んでいた。
「あ、凛!あそこが空いてるよ」
「そ、そうだね…」
昼も終わりというこの時間では利用者が少ないらしく、私たちの目的のテーブル席は空きだらけだった。
「緊張する…」
神田外語大学は、様々な国の言葉に富んだ大学だ。
衝撃的な構造ばかりの学内では、自分の知らない言葉が日常のように行き交っている。
そして他にも大学側は私たち生徒のために、面白いシステムを用意してくれていた。
その1つが、この『KUIS 8』。
理想的な教育環境として整えられたこの新校舎では、英語でしか会話をしてはいけないエリアがあるのだ。
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