先輩は、甘い。
何を思ったのか、突然近くに座っていた男の人を指さしてそんな言葉を放った彼。
ニヤニヤとムカつく表情のこいつは、もうただの意地悪野郎と変わりない。
いきなり知らない人に英語で話しかけるとか無理だし…ていうか、あの人思いっきり外人じゃん!色黒すぎ…!!
「Can not you do it?(まさかできないのか)
I want to return it confidently a little while ago.
(さっき自信満々で返したくせになぁ)」
内面失礼野郎。
見た目かっこよくて頭脳が大人でも中身が子供なんて、どっかの人気漫画と正反対じゃないか。
「I can do it. Please look.
(できますよ。見ててください)」
速くなる鼓動をギュッと抑えて、私は黒人の元へと歩いて行く。
「Excuse me…Do you have a little time?
(すみません。ちょっとお時間いいですか?)」
勇気を出して声をかけると、黒人は反対側に座る女の人と視線を交わしてからこっちを見上げた。
「Of course, yes. what's up?
(もちろん、いいよ。どうしたんだい?)」
「Thank you.
Well, I wanted to talk a little…
(えっと、少しお話したいと思って)」
「Hehe, you are cute little girl.
(ふふ、可愛いお嬢さんね)
That beautiful black hair, enviable.
(その綺麗な黒髪、羨ましいわ)」
「あ、さ、さんきゅー」
あ、緊張して発音間違えちゃった。
恥ずかしい…。