約束の日 ~龍神の守護する国~
その土地を潤う湖はかつての火山が造り出した火山湖。

街よりも高い高山に存在していた。

災害の示す意味を感じ取り、高揚していた気持ちが一気に下がったようだ。

「今までどんな雨でも氾濫したことは・・・」

「今までは…ですね。それも街が出来てからの数百年……」

手を下したのが合図のように、立ち込めていた暗雲が隣国の方へと流れていく。

それと共に小降りになった雨だが、山から流れ込んで来る湿った風が、
山脈伝いに降っているであろう雨の激しさを伝えてくる。

「氾濫させたこと、ありませんでしたね」

無表情だった顔に、笑みを浮かべる。

< 30 / 35 >

この作品をシェア

pagetop