約束の日 ～龍神の守護する国～

「領主様、街からの使いの者の報告では、数日前からずっと雨が降り続いているようです」

今更ながらの部下の報告に顔色を変える。

領土とは自国の王都の問題もあることから、常に連絡の伝令が行き来している。

が、領土の天候の話題など内に等しく気にも留めていなかった。

「美しい街だそうですね。でもひとつの決壊ですべて消え失せる…ほら、こんなふうに」

言葉と共に滝の上にある岩の一部が突然、亀裂が入り崩れた。

大人一人程度の岩が滝壺に高い水柱を立ち上がらせ、堰き止められていた水が新たな流れを作り出し、
二本目の新たな滝を作り出した。

絡み合って落ちる大きくなった水音だけが、静まり返った空間に響いている。