カボチャの馬車は、途中下車不可!?
プロローグ
パシャ……
パシャ……ン……
絶え間なく響く水音。跳ねる、飛沫。
巨大なダブルベッドの端で膝を抱え、こくりと息をのんだ。
パシャンッ……
たまらず耳をふさぐと、今度は不規則に乱れ打つ心臓が主張を始める。
どくん、どくん、どくん……
お、落ち着け。
とりあえず落ち着こう、私。
いい年した大人が、三十路突入した女子が、
たかだかホテルの部屋で男と2人きり、ってくらいでジタバタしてどうするのよっ?
必死で抑えようとすればするほど……逆に鼓動は乱れ散って。
こういうシチュエーションがいかに久しぶりで、どれほど自分が動揺してるのか、思い知らされる。
甘かった。
ほんっと、甘く考えすぎてた。
もっとスマートに、さらっとかわせると思っていた自分を大声で笑ってやりたい。
こんな上級ミッション、無理でした。今更だけど。
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