カボチャの馬車は、途中下車不可!?

インパクトのあるプレゼンをすることは重要だけど、尖りすぎてドン引きされたら、シャレにならない。
でも、そういう前衛的というか、先進的なものを好む担当者もいるわけで。
その線引きは、とても難しい。
えげつないとは思うけど、勝つための戦略は不可欠だ。

目の前にいる彼はまだ20代のようだし……そんな権限はなさそう。
となると、彼の上司か……それとも……

なんとかして、挨拶しておきたいな。
考えてるうちに、確認事項、日程調整へと話は進み。
「では、楽しみにしておりますので」
と、樋口さんが腰をあげてしまった。

しまった……どうしよう?

そこへ。
それまで黙りがちだった日下課長が、おずおずと口を開いた。

「最後になってしまって大変申し訳ないのですが……本日大河原部長はご在席でしょうか? 真杉を紹介させていただきたいと思ったのですが……」

すぐに樋口さんが苦笑した。
「あー……やっぱり。……ですよね」

『やっぱり』? 『ですよね』?

「僕もそう思って、さっき確認したんですけど——」
そして、申し訳なさそうにぺこりと頭を下げた。

「ちょっと今日は手が離せないとかで……すみません」
「……ですよね、やっぱり」

なぞるように日下課長が全く同じワードをつぶやくから、つい二度見しちゃったじゃない。
なんなの、一体?

「では、また日を改めます」
「ほんと、すみません」

これって……何かある?
< 109 / 554 >

この作品をシェア

pagetop