カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「日下課長っ、どういうことですか、『やっぱり』って」
「え?」
2人とも会社に戻るということがわかり、一緒にタクシーに乗り込んだところで。
さっそく、聞きたくてうずうずしていたことを切り出した。
「さっき、大河原部長って方が、会ってくださらないのはわかってた、みたいな言い方したじゃないですか」
「えーっと……そりゃ、忙しいひとだからね」
忙しい、だけじゃない。
絶対何か、他にある。
最初からあきらめてた、みたいな雰囲気だったもの。
「大河原さんって名前、資料にはありませんでしたよね。広報部じゃないんですか?」
「あー……うん、開発部の人なんだ」
開発部……?
「営業部の課長サンが大きな顔をしてることと、関係あるんですか?」
白状してもらおうじゃないの、と無言の圧力をかけていると——日下課長はあっさり落ちた。
「オニカワ……開発部の大河原さんはさ、誰に対してもものすごく厳しいって有名な人なんだ。簡単に出入りの営業や業者と親しくなったりしないし、名刺も受け取らない。もちろん、名前なんて1年たっても覚えてもらえない」
「そんな偉そうにできるなんて、よっぽどすごい人なんですか?」
「ほら、今回の商品、『メインハーブ』シリーズ、あれを作った人なんだよ。もともと大学で植物の研究してたらしいんだけど」
「へぇ……」