カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「ありがとう! あの……彼は妻子持ちだから、大丈夫だと思うよ」

何が「大丈夫」なのかは……突っ込まないでおこう。うん。
苦笑いしながら、とりあえず頷いておく。


もちろん今までセクハラめいたことが皆無だったわけじゃないし。
平気だと思う。
うまくかわせる自信はある。

「遠慮しないで、私のことどんどん使ってください。どこまでやれるかわかりませんけど、どうせなら、やっぱり勝ちたいですもんね」

決定権を持つ大河原さんが、帝電以外と仕事したいと思ってるなら。
うちが勝つ可能性も、ゼロじゃないはず。
うん。なんか、やる気出てきたかも。

「そういってくれると助かるよ。青山さんも張り切ってたから、残念だけど。ここだけの話、僕としては真杉さんの方が心強いよ。なんといっても、青山さんはまだ若いしね」

わ、若……えーと、ここは喜んでおくところか?
たぶん、喜んでおくところだろう。

「ご期待に沿えるように、頑張ります」

まぁとにかく。
これでプライベートはしばらくお預けだな。

ちょうどいいのかもしれない。
だってあの——

「でも申し訳ないなぁ。せっかく彼氏もできて、春爛漫の真杉さんなのに。写真見せてもらったけど、ほんとにハリウッドスターみたいな男前だね」

「しゃ、写真……ですか」
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