カボチャの馬車は、途中下車不可!?
気のせい、カン違い、他人の空似……そんなことあるわけはないか。
ビルとの距離を測って、ダメだ、と呻く。
ダッシュして駆け込む……のは無理だ。
距離の問題に加えて、足の長さとスピードも違うだろうし——
私は覚悟を決めて、彼の方へ向き直った。
まだこっちに気づいてないライアンは、周囲から注がれる熱視線にも無頓着な様子で、ひたすら空を眺めてる。
雲間から差した薄日が、金髪にキラキラ反射して。
まるでスポットライトを浴びてるみたいだ。
緩めたネクタイも、くしゃりと無造作につかんだジャケットも、すべてがその美しさを引き立てる小道具で。
どうしようもなく……目を奪われてしまう——
だだダメだ。
しっかりしないと。
ふるっと頭を振り、軽く息を整えた。
落ち着いて、ちゃんと話さなくちゃ。
会うつもりはないって、待ち伏せは困るって、言わないと。