カボチャの馬車は、途中下車不可!?
何を見てるんだろう?
彼へと歩いて行きながらそんなことを考えたのは、本当に偶然だった。
もしかしたら、その眼差しが気になったからかもしれない。
あまりにもじぃっと、思いつめた目を一点へ向けていたから。
それは、これまでに見たどんな表情とも違っていて……
とにかく私は。
彼の視線をたどって、ビルの谷間に広がる重たい空を見上げた。
目を凝らすと……頭上、灰色の雲に小さな黒い点がある。
高く高く、悠然と旋回していく——あれは……鳥?
何の鳥だろう?
鳥を、見てた?
あんな……焦がれるような、すがるような目で?
どうして——
「飛鳥っ!」
どく、んっ……
悔しい。
心臓が、止まるかと思った。