カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「待っててよかった。会社に電話したら、戻ってくるはずだって教えてもらったから」
私の前までやってきたライアンは、そう言って屈託なく笑う。
目尻に寄る皺が、精悍な印象をくしゃりと柔らかく崩していて。
あれ——と思った。
さっき見た、思いつめたような光が、どこにもなかったから。
見間違い……だったのかな?
「ん? どうかした? 仕事忙しくて、疲れちゃった?」
イキナリ顔を寄せて覗き込まれて、ぎょっとのけぞる。
「そ、そっちこそっ……仕事、IT系だって言ってたけど、忙しいんじゃないの? こんなところで待ってる時間なんてあるわけ?」
すると、彼の眉がひょいっと驚いたように持ち上がった。
「アフター5はプライベートの時間だよ。それを削らなきゃいけないような、ずさんな時間管理はしてない」
そ、そうですか。
こっちは時間管理ずさんで残業続きですけどっ!
イヤミっぽく言いかけて……