カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「嘘ついててごめんなさい」って頭を下げて。
それから、そろそろと彼の表情を伺った。
怒りか失望か、そんなマイナスな感情を浮かべているはずだと期待して。
ところが。
——へぇ、そうなんだ。全然わからなかった。アジア人の女の子って、やっぱり若く見えるよね。
返ってきたのは、なんとも呑気なコメントのみ。
そのまま何事もなかったように、スプーンを口に運んでいく。
そこにわずかの動揺も見つけられなくて、私の方が焦っちゃって。
——それだけ?
仕方なくこっちから聞くと、「それだけって?」って首を傾げるの。
全然わからない、って言う風に。
そして突然、「あぁそうか、わかった!」と破顔したのだ。
——もうすぐ33歳の誕生日なのよってアピールだね? それで、プレゼントのおねだりだ!
——……はぁ?
——もちろんいいよ、何がほしい? 靴、かばん? アクセサリー? リクエストはある?
小学生だって知っていそうな高級ブランド名を、ウキウキと連呼し始めるから、あたふたと「違うから!」ってストップをかけた。