カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「これでよし。これからはラインで連絡するから」
「……わかった。わかったから、会社には絶対来ないでね」
スマホを受け取った私は、早くこの空間から逃げだそうと、そそくさとシートベルトに手を伸ばした。
瞬間、その手は大きな手に包み込むように捕らえられ……
彼の口元へと運ばれた。
チュッチュッと軽く、彼の唇が私の指先を啄む。
「ちょっ……」
「次はさ、銀座あたりでデートしよう?」
「ぎ、銀座? なんで?」
「この前のネックレスの代わりを探しに。あれは気に入らなかったんだよね? だからホテルに残していったんだろ?」
思いがけず強い力で拘束されていた手は、引き抜くことも叶わず。
手のひらへ、熱いキスを許してしまう。
「き……っ気に入るとか気に入らないとか、そういうことじゃなくて……あれは、あんな高価なもの、もらう理由がないからお返ししただけ」
彼の口から大げさな吐息が漏れた。
「値段なんて、気にしなくていいって言わなかった? 当然って顔してもらっておけばいいって」
「でも……そういうわけには」
「僕ってさ、便利な男だと思うんだよね。とことん甘やかすのが、僕の愛し方だから。どんな願いも叶えてあげるよ? 君の彼氏には無理なことでもね」
ちゅぅっ……
手首に、唇が吸い付いた。