カボチャの馬車は、途中下車不可!?
あっという間に小さくなっていく車を、私は呆然と見送った。
彼は、やっぱり危険だ——
私の知らない何かが、あるような気がする。
理由はわからないけど、そんな気がする。
だから近づかない方がいい。
関わらない方がいい。
でも……
果たして、逃げ切れるんだろうか……?
彼とつながってしまったスマホを、手の中に握り締める。
その時小さくエンジン音が響いて、一台の車が私の視界を横切った。
すべての窓にスモークフィルムを貼った、黒のワンボックスカー。
その車は、白のSUVを追うように走り去って、闇に溶けていったのだけど。
ライアンのことでいっぱいになっていた私の頭は、すぐにそれを記憶の奥底へと押しやってしまった。