カボチャの馬車は、途中下車不可!?
今まで、友情の延長みたいな恋愛しかしてこなかった私は、こんな風にまっすぐ、熱く、好意をぶつけられたことがなくて。
どうしたらいいかわからなくて、戸惑ってばかりだ。
きっとそのうち、飽きるに決まってる。今は新しいおもちゃが珍しいだけ。別のおもちゃが目に停まれば、すぐにそっちへ気を取られるんだから。
少しの辛抱だ。
実際、オオタフーズのプレゼンが近づいてきて、データ集計、資料作成、スタッフとの打ち合わせ……やることは山ほどある。
それを理由に、今のところ逃げて逃げて、逃げまくってるんだけど……
彼、さすが、よくわかってるのよね。
電話のタイミングも、メールの文面も。
女性がどうすれば喜ぶのか、どんな言葉を欲しがっているのか、
わかってる。
わかりすぎてる。
だから最近、ちょっとまずいと思ってる。
気づくと、スマホの着信をチェックしていたり。
彼のメッセージを読み返してたり。
デスク上の花に見惚れてたり……
これってもう、彼の思うつぼなんじゃないか、
気持ちが傾きかけてるんじゃないかって——
「……すぎ、真杉!」
ピンッ!!
「ったぁ……」
額に走った痛みで、ハッと現実に引き戻された。