カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「それにしても」と、気を取り直して口を開いた。
「坂田が奢ってくれるなんて珍しいね。明日雪でも降るかな」
「っせぇな、オレは太っ腹なんだよ、基本」
「はいはい、キホンはね」
私が笑うと、坂田は少し決まり悪そうに、ふいっと目をそらした。
「坂田?」
「っていうか……その、まぁ……おわび、っていうのはあるけどな」
「おわび?」
ひょこ、と首を傾げてしまった。
私、坂田に何かされたっけ?
「……スタッフも方向性も、もう固まってる仕事に途中からって……やりにくいだろ」
あぁ、って私は頷いた。
オオタフーズのことだ。
青山さんのピンチヒッターとして、かの仕事を最初に打診されたのは、実は坂田だったのだ。
でも、「空いてるのでやりたいです」って、私が手をあげちゃったのよね。
「ま、何事も経験だからね」
確かに、私だって企画が動き出す前、ゼロから関わりたいとは思うけど。
慎ちゃんが忙しすぎるって親友が嘆いてるの知ってる身としては、なんとなく放っておけなくて。
「大河原さん、だっけ、開発の。めちゃくちゃ怖くて、地獄のオニガワラって呼ばれてるんだって?」
「うん。まだ挨拶すらさせてもらってないけど。相当すごい人みたい」