カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「3日くらい前かな。もうしばらく休むけど、ごめんなさいって」
未読が続いて、さすがに電話しようかと思ってたら突然返事がきて、びっくりしたのよね。
『いろいろご迷惑かけて、申し訳ありません。体調はだいぶいいのですが、やはり両親も心配しているので、もうしばらく実家でゆっくりしようと思います』
『ライさんのこと、フッていただいて、ありがとうございました。ホッとしました! これで彼との結婚も進められます』
私が曖昧な書き方をしたせいか、彼女、ライアンとのことはもう解決したと思ってるみたいで。
訂正しなきゃとは思うんだけど……
電話やメールはしてるけど、直接会ってはいないし。今後も会う予定はないし……なんて。
言い訳しながらずるずる時間だけが過ぎてしまって、少し後ろめたかったりする。
「とにかくさ、お前が王子にフラれたりしたらオレ、マジで責任感じるから。手伝えることあったら言えよ?」
「あのね、何度も言うけど、フラれるとか以前につきあってないの。ほんとに迷惑してるくらいで——」
「何が迷惑だって?」
ふいに深みのある低音が降ってきて。
私たちは同時に顔を上げた。
「新条部長!」
「お疲れ。ここ、いいか?」
「はい、はいっ! もちろんです!」
「どうぞ!」
大柄な体をしなやかに曲げて私の隣に腰を下ろした部長は、持っていた小ぶりのバックをテーブルに置いた。