カボチャの馬車は、途中下車不可!?
9. 続・2ndピリオド

梅雨は憂鬱。
ヘアスタイルは決まらないし、服は汚れるし、傘は邪魔だし——


山手線、ドア部分にもたれながら、ガラスの向こうで振り続ける雨を恨めしく見やった。

タクシーはつかまらないし、足元は悪いし……

さらに続けようとして、唇を噛む。
なんで私……こんなにイライラしてるんだろ。

そして、ため息とともにこぶしを額に押し当てる。

わかってる、原因は。
雨のせいじゃなくて——


ライアンから、連絡がこない。

もう、3日になる。
いや、まだたったの3日、だけど。

今まで毎日毎晩、定期便のように連絡が来てたから、いきなりそれが途絶えると、落ち着かない気分になってしまう。

花は、変らず届いてるんだけど。
心なしか、おとなしいアレンジになってるような……
なんて。
気にしすぎだ。わかってるんだけど——

『原宿、原宿です』

電車がホームへと、滑り込んでいく。
カクン、と足元の床がわずかに揺れ——、私はハッとカバンを見下ろした。

今……スマホ、振動した?

開いたドアから流れ込む大量の人を避けて端に寄りながら、急いでカバンに手を突っ込んだ。
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