カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「気のせい、ですか」
詰るように言って目を上げれば、色とりどりのつり革広告が並んでるけれど、内容なんて全然頭に入ってこない。

どんだけ気にしてるんだって、自分に呆れてしまう。

最後に彼から連絡があったのは、3日前の月曜日。
金曜の夜会えないかってメッセージがきたのよね。
その日は、私の歓迎会という名の接待があるし。
『仕事があるから行けない』って返事したら、夜電話がかかってきて。

——彼氏とデートするの?

——違うってば。ホントに仕事。

——ワーカホリックだなぁ、日本人て。彼氏もよく我慢できるよね。もしかして、会社の人と付き合ってるの? それなら社内でデートできるもんね。

——ノーコメント!

そうだ。あのやりとりから、連絡が途絶えてる。

何か、あったのかな。
ちょっと冷たくしすぎたかな……

逃げて、避けて。
自分から距離を置いたくせに。

なんでこんなに気にしちゃうんだろう。

苛立ちを紛らわせるように、コツコツとこぶしで額を叩いた。


「やめときなって。ネット婚活なんて」
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