カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「変更だぁ!?」
少し内容やレイアウトに変更を加えてほしい、とお願いすると、斎藤さんは化け物を見るみたいな顔をして、大げさにのけぞった。
「今更何言ってんだよ。プレゼンはもうすぐだろぉ? このまま持ってけばいいだけじゃないか」
「でもまだ1週間以上ありますよね。ギリギリまで、よりいいものにするために、ご協力いただきたいんです。何しろ、あの帝電と争うわけですし」
しかも、相手はあの大河原部長だ。
準備しすぎるほど準備しておいたって、足りないくらいだと思う。
私が言うと、斎藤さんはわざとらしく舌打ちした。
「あんた、うちの仕事にケチつける気かよ? 俺は、言われたこと全部、ちゃんと盛り込んだぜ?」
「いえ、それはもちろんわかってます。そんなに大きな変更じゃないんです。ただ、もう少しわかりやすく……」
「出たぁっ、出たよほらそれ!」
斎藤さんは薄ら笑いを浮かべて、人差し指を私へ向けた。
「……は?」
「少しだけですから、ほんのちょっとだけ、大した直しじゃありませんから。それね、代理店さんの決まり文句って、わかってる? そっちはそうやって、なんでもないことみたいに軽く言ってくださるけどね、こっちがそれにどんだけの時間と人件費割かなくちゃいけないか、全然わかってないだろ」
「や、あの……それは、申し訳ないと」
「こっちだってたくさん案件抱えてんだよ。大企業さんと違って、数こなさないと金にならないんでね」