カボチャの馬車は、途中下車不可!?
硬く冷たい壁を背中に感じて。
ぞくりと、身体が震えた。
なんだかこの雰囲気は……よくない気がする。
早く、どこか別の階につかないかな——……あれ?
その時ようやく、私はなじみのある振動がないことに気づいた。
やだ。私、ボタン押すの忘れてるっ……
これじゃいつまでたっても、エレベーター動かないじゃない。
震える足をカニみたいに横へずらして。
文字盤に向かってビクビクと伸ばした手は——目的地にたどり着く前に、強い力で阻まれた。
捕まれた手首は、シルバーの壁に押し付けられて。
カタンッ!
手にしていた傘が、音を立てて床に転がっていく。
「なにすっ……」
ダンッ——
反対側にも手をつかれて壁ドン状態の私は、全身を強張らせながら、至近距離にあるその美貌を見上げた。
「逃がさないよ。ちゃんと説明してくれるまでね」
睨み据えるその眼差しにわずかな苛立ちが見えて、出かかった抗議の言葉を飲み込む。
「どうして嘘ついたの?」