カボチャの馬車は、途中下車不可!?
虚を突かれて、「え?」って聞き返した。
「何それ、私嘘なんか……」
言いかけて。
ぎくりと、緊張が走る。
まさか。
マユミのふりをしてたことが、バレた?
きっとそうだ……彼、気にしてたもの。
ど、どうしよう。
青山さんのこと、なんて説明すれば……
返事を用意していなかったことを悔やみながら、降ってわいたピンチにあわあわと言い訳を探していると——
ふふ……っ
唐突に彼の眦が含み笑いとともに下がり、張り詰めていた空気が嘘のように緩んだ。
え?
な、に……?
「飛鳥さぁ、嘘をつきとおすなら、周りにも口止めしておかなくちゃ。こういうの、ツメが甘いっていうんだろ、日本語で」
「は……?」
「さっき、親切なアシスタントさんが教えてくれたよ。『飛鳥さん、もうずーっと彼氏はいませんよ』ってさ」
「なっ……」
悲鳴交じりの惨めな声が、喉の奥からもれた。