カボチャの馬車は、途中下車不可!?

自分の不器用さを恨みながら、せっせとヘラを口へと運ぶ王子様を眺めた。


「へぇ、お好み焼きと同じなのかと思ったけど、やっぱり違うんだね。外はカリッとして中はクリーミーで、すっごくおいしい。どんどん食べたくなる」


お腹、すいてたのかな。

彼は旺盛な食欲を見せ、テンポよくお腹に収めていきながら、「次、何にする?」って壁のメニューを見上げる。


「あ、あそこの人が食べてるの、おいしそうだね。すみませーん、それ、何ですか? 明太子もんじゃ!? いいな、じゃそれこっちにも一つ!」

おばちゃんに手を振ってオーダーする彼の顔は、見たことないくらい上気してて、嬉しそう。
なんだか、子どもがはしゃいでるみたい。

こんな顔も、するんだな……。

「ほら、飛鳥も早く食べないと。全部食べちゃうよ?」
「あ、うん……」

なんだかやっぱり。
いつの間にか、彼のペースになってるような気がする。

でも……

まぁ、これはこれでいいか。
楽しそうだし……

余計な事考えずに、今日は食べることに専念しよう。
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