カボチャの馬車は、途中下車不可!?


「ありがとう、飛鳥」


2人して夢中になって食べ進み。
内側から発火するんじゃないかってくらい、汗ばんだ頃だった。

唐突に、改まった声がした。

「え?」

「日本に来て3年になるし、もう日本のおいしいもの、大抵食べた気になってた。自分が恥ずかしいよ。ほんとにありがとう」

じぃってまっすぐ、ライアンが私を見つめる。
柔らかく包み込む……愛おしむみたいな瞳で。

「デートの時ってさ、たいていイタリアンかフレンチか、ミシュランの星付きか……そういうおしゃれな、女の子が喜ぶような店ばかりで。それでいいと思ってた。でも、飛鳥は違うんだな。飛鳥は、僕のことを考えて、僕のためにここを選んでくれたんだろう?」

「へ? や、や、そのっ……」
私はブンブン、勢いよく両手と首とを振った。

「ちち違うわよ? たまたま思いついた……っていうか、私が食べたかっただけで!」

なんだかものすごく感動してるっぽい彼を前に、
あなたのイメージに一番遠かったから選んだ、とはとても言えない。

赤くなったに違いない顔をごまかしたくて。
「暑くない?」なんてパタパタ手で仰ぎながら、ウーロン茶に手を伸ばした。


「飛鳥」
「ん?」
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