カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「フローリアさん、こんにちはー! あれ……今日はバラですかっ?」
「そ、そうね」
ラムちゃんに飛びつかれながら、私はよたよたと、お兄さんの差し出した伝票へ名前を書き込む。
「ウシシ。何かあったんですかぁ?」
「な、何かって?」
「今までとは違うから、花の感じが。なぁんかイミシーン!」
「い、意味深?」
まさかそんな。
笑い飛ばそうとして、口を閉じた。
……もしかして……愛想つかした、とか……?
今にもポッキリ折れそうな頼りないバラを手に、ふと不安がよぎる。
昨夜、私何かやらかした——?
「本数にも、意味があるってご存知ですか?」
ふいに、お兄さんが帽子をかぶり直しながら言った。
「1本のバラは、『あなたしかいない』ですよ」
「え……」
「ぎゃあああっ! ヤハリ! ヤハリ何かあったんですね、飛鳥さんっ!」
ラムちゃんが大げさに身もだえるから、こっちは大焦りだ。
「ちょちょっ……何もないわよっ!」
「しかも相手王子とかっ!! リア充すぎて、まぶしいっす!!」
白目むいてるラムちゃんを押しのけて、「か、花瓶探さないと」って、その場から逃げ出した。