カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「フローリアさん、こんにちはー! あれ……今日はバラですかっ?」
「そ、そうね」
ラムちゃんに飛びつかれながら、私はよたよたと、お兄さんの差し出した伝票へ名前を書き込む。

「ウシシ。何かあったんですかぁ?」

「な、何かって?」

「今までとは違うから、花の感じが。なぁんかイミシーン!」

「い、意味深?」

まさかそんな。
笑い飛ばそうとして、口を閉じた。

……もしかして……愛想つかした、とか……?

今にもポッキリ折れそうな頼りないバラを手に、ふと不安がよぎる。
昨夜、私何かやらかした——?


「本数にも、意味があるってご存知ですか?」
ふいに、お兄さんが帽子をかぶり直しながら言った。

「1本のバラは、『あなたしかいない』ですよ」


「え……」

「ぎゃあああっ! ヤハリ! ヤハリ何かあったんですね、飛鳥さんっ!」
ラムちゃんが大げさに身もだえるから、こっちは大焦りだ。

「ちょちょっ……何もないわよっ!」

「しかも相手王子とかっ!! リア充すぎて、まぶしいっす!!」
白目むいてるラムちゃんを押しのけて、「か、花瓶探さないと」って、その場から逃げ出した。
< 195 / 554 >

この作品をシェア

pagetop