カボチャの馬車は、途中下車不可!?
恐る恐る音の方に目をやれば、バスルームの中、長身の影が見え隠れする。
全面を覆ったすりガラスと立ち上る湯気で、おぼろに揺れるシルエット。
はっきり見えない分、余計に妄想を掻き立てるというか、エロティックっていうか。
——僕に、溺れてみない?
ふいに。
私を抱きしめた、広い肩、固い胸板の感触を思い出してしまって、一気に頬に血がのぼる。
着やせするタイプなのか、服の上からではわからなかったけど。
回された腕は、しっかりと鍛え抜かれた筋肉で覆われていて。
否が応でも、彼という男を意識せざるをえなかった。
「ぅうぅ……っ」
呻いて。
シーツにゴロン。
まさか私、欲求不満っ?
転がったまま、おずおずと唇に指を伸ばして。
キスの余韻が濃く残る、熱を帯びたそこに触れた。
洗練された物柔らかな風貌を裏切る、いっそ乱暴とも言える勢いで無遠慮にねじ込まれた舌。
その火傷しそうなほどの熱さを思い出す。