カボチャの馬車は、途中下車不可!?
はぁ……はぁ……呼吸……苦し……っ……
全然酔っぱらってなんかいないくせに、足元はふわふわ、頼りなくて。
ふらふら前へとプラットフォームを進みながら、私はこめかみをぎゅっと押さえた。
サイテーだ。
なんで……なんであんなこと言っちゃったんだろう。
いうつもりなんて、全然——
わかってる。
嫉妬したんだ。
私は、自分で考えているよりずっと、あの赤毛の美女のことを気にしていて。
彼女とライアンとの関係を気にしていて……
冷静になんか、なれなくて。
それはつまり、私が彼のことを……
RRRRR……
鳴り出したスマホを機械的に確認すると、日下課長からだった。
「……課長?」
『あぁ真杉さん! よかったぁ! 無事だねっ!?』
なんて必死そうな声音。
心配してくれてたんだな……。
「はい、無事ですよ。これから電車に乗るところです」
電話の向こうで、『真杉さん、無事だった』って、言ってる声がする。
丸岡主任もいるのかな。
『ごめんね、本宮さんに強引にタクシー乗せられちゃってさ。ほんっとごめん!』
「大丈夫です。バシッと振り切ってきましたから」
『さすが真杉さん! よかったよぉ!』
「じゃ、また会社で」
『うん、今日は本当にありがとう! おやすみ!』
「おやすみなさい」
通話を切って、ふ。って、ほんの少し頬が緩んだ。
文句の一つも言おうと思ってたけど……これじゃ何も言えやしない。