カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「昨夜線路に落ちかけて頭を打って、ずっと意識を失ってたんだ。覚えてる?」

ベッドサイドから心配そうにのぞき込むライアンを見つめ返すうち、ようやく
記憶がさざ波のようにざわざわと、押し寄せてきた。


ざわめき。
人いきれ。
列車の到着を告げるアナウンス。
近づく列車のライト。
それから……
それから……


そうだ。
ホームが人であふれてて……
押し出されるみたいに……

え、でも彼今——落ちかけた、って?

私、じゃあ……?


カタカタカタ……
小刻みに震えだした体を、ぎゅうって再び、力強い腕が包み込んだ。
「よかった、無事で……」

「私、落ちてない、の?」
確かにあちこち痛むけど……骨が折れたりはしてないみたい。
「覚えてない? 居合わせた人たちが気づいて間一髪、助けてくれたんだよ」

そういえば……なんとなく記憶にある。
響き渡るいくつもの悲鳴と、引っ張られた腕の痛み。
倒れ込んだ拍子にぶつけた、全身の痛み……
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