カボチャの馬車は、途中下車不可!?
新商品の発売情報や販売戦略。私たちはいつも、クライアントの機密情報と深く関わる。気を付けないと、どこから狙われるかわからない。
今の時代、テクニックさえあれば、世界中からアクセスできちゃうしね。
「くれぐれも顧客情報は外にもらすなよ。それが最愛の彼氏でもな」
「っ……部長っ! ですから、彼は彼氏ではっ……」
「あははは……」
「ほんとですよ? 部長っっ!」
部長を追いかけるように、ビルに入ろうとして。
ピタリと、足を止めた。
え……——?
まただ。
また、視線を感じる。
誰かが、私をじっと見つめてるような……
振り返って、ぐるっと見渡しても、
そこにはいつも通り、見慣れた平凡な出勤風景が広がるばかり。
どこにも、変ったところはない。