カボチャの馬車は、途中下車不可!?

だから……例えば。
手料理、とか?

彼女でもない女の手料理って、海外ではどう思われるんだろう?
何か特別な意味があったりするのかな?
いかにも、みたいな手の込んだものを作らなければ、大丈夫かな。

うう……どうしよう……


「恋、してるでしょう。真杉さん」



「ひぃいいっ!!」

本を勢いよく閉じて、ガバッて振り返った。

「し、し、しし柴田さんっ! おおお、おどかさないでくださいっ!」

「あはははは……真杉さん、動揺しすぎ」

柴田さんは笑いながら、ひょいっと私の手元を覗き込んだ。
「『シンプルステップの本格和食』? へぇええ。彼に作ってあげようかなとか、考えてたんでしょう?」

「ややや、や、あの……まだその、彼氏では、なくて……ですね」

言い終わってから、これじゃあ肯定してるも同然だって気づいたけど、後の祭りだ。

ぎくしゃくと本を戻す私を見て、柴田さんは「ふっふっふ」って含み笑う。
「さ、行きましょうか。これはじっくり、聞かせてもらわなくちゃね」

「え、ええっ!?」

いや、今日のランチは、ベトナムの話を聞く会なんですけどっ?
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