カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「私がお誘いしたのに、ごちそうになっちゃってほんとすみません!」
お店を出ながら、私は恐縮しきって頭を下げた。
「いいのいいの。楽しかったし。その代わり、彼との経過報告、待ってるわよ」
にやっと笑われて、私は「はは、は……」って目を泳がせた。
「真杉さんは、会社に戻るの?」
「あ、いえ、別件で大手町まで出なくちゃいけなくて。これから駅に——」
言いかけた私の声は、ブツリと途切れた。
——え?
何度か瞬きして、道の向こう側……一点を凝視した。
背筋に、ゾワリと気味の悪い衝動が這って行く。
嘘でしょ……?
まさか。
まさ、か……?
「真杉さん? どうかした?」
「し、柴田さん……あの、向こうの、車……わかります?」
まずい。
声が、震えてる。
「え? どこ? あぁ、交差点の手前の?」
乾ききった唇を舐めて、言葉をつなぐ。
「あれ……さっきも同じやつ見ませんでした? 御社のビルから出る時」