カボチャの馬車は、途中下車不可!?

ええと……これからどうしよう?

歩きながら腕時計に目を落とすと、なんとまだ3時を過ぎたところ。

プレ金だって気づいて、衝動的に直帰って言って出てきちゃったけど。
実は予定なんてないのよね。

せっかく仕事も片づけてきたし。
このまま帰るだけなんて、絶対もったいない。
誰か誘って、飲みに行こうかな……誰がいいだろう?

こういう時恋人がいたらって、無意識に考えてる自分に気づいて、苦笑い。

シングルでもいいと思いながら、それでもやっぱり、約束のない金曜日は寂しい。
これもまた、真実だったりするのよね。


軽く頭を振った私は、そこで今朝の部長の言葉を思い出した。

そうだ、青山さん!
連絡してみようって思ってたんだった。

風邪、ひどくないといいけど。

スマホを取りだし、ラインを立ち上げ——


え?

訳が分からない私は、ゆっくりスマホを下ろして、パチパチって何度か瞬いた。

だって……雑踏の中、ざわめきの中。
向こうから歩いてくる……あれって……


「青山さん?」
< 24 / 554 >

この作品をシェア

pagetop