カボチャの馬車は、途中下車不可!?
ええと……これからどうしよう?
歩きながら腕時計に目を落とすと、なんとまだ3時を過ぎたところ。
プレ金だって気づいて、衝動的に直帰って言って出てきちゃったけど。
実は予定なんてないのよね。
せっかく仕事も片づけてきたし。
このまま帰るだけなんて、絶対もったいない。
誰か誘って、飲みに行こうかな……誰がいいだろう?
こういう時恋人がいたらって、無意識に考えてる自分に気づいて、苦笑い。
シングルでもいいと思いながら、それでもやっぱり、約束のない金曜日は寂しい。
これもまた、真実だったりするのよね。
軽く頭を振った私は、そこで今朝の部長の言葉を思い出した。
そうだ、青山さん!
連絡してみようって思ってたんだった。
風邪、ひどくないといいけど。
スマホを取りだし、ラインを立ち上げ——
え?
訳が分からない私は、ゆっくりスマホを下ろして、パチパチって何度か瞬いた。
だって……雑踏の中、ざわめきの中。
向こうから歩いてくる……あれって……
「青山さん?」