カボチャの馬車は、途中下車不可!?
13. トラブル

「どういう……ことですか?」
私は完全に調子の外れた声で尋ねた。

『どういうことって……聞いてるのはこっちですよ。どうしていらっしゃらなかったんですか、今日のプレゼン。もう全部終わっちゃいましたけど』 

初めて聞く樋口さんの不機嫌そうな声音が、容赦なく鼓膜に突き刺さる。
でも、私は話がまるで飲み込めなくて、思考回路はショートしたままだ。

『進捗、厳しいなら厳しいって、言っていただけたらこっちだって』

「ちょ、ちょっと待ってください! プレゼンって……だって、週明けですよね?」

『え……日程変更しますって、ご連絡したでしょう?』

「日程変更っ!?」

ガタンッ!
けたたましく椅子を鳴らして立ち上がった私を、周りの営業部メンバーがギョッと注目したけれど。
そんなこと、今は構っていられない。

「どういうことですか、そんな話、お伺いしておりませんがっ」

『え……だって、本宮さん……まさか……っくそ……!』

樋口さんは何事か罵ると。
そのまま電話の向こうでゴソゴソ、バタバタって音がする。
携帯を手に持ったまま、どこかへ移動してるみたいだ。

しばらくして、『どういうことですか、本宮課長っ!』って、くぐもった声が聞こえた。
『YKDさん、変更の話、聞いてないって言ってますけど! 僕は、あなたがちゃんと伝えるっていうからっ!』

『おいおい、言いがかりはよせよ。俺はちゃんと伝えたよ? どうせ、全然進んでなくて、言い訳もできなくて、逃げ出したんだろ』

本宮……さん?
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