カボチャの馬車は、途中下車不可!?
『そんな……』
『おい樋口、まさかお前、俺がわざとYKDに連絡しなかった、とでもいうのか? そんな証拠でもあるのか?』
『それはっ……』
『おい、なんだそれ、手の中の、携帯。もしかして今つながってるのか?』
『え、あ……えぇ』
『ちょっと貸せ』
そして、ガサガサっと音がして、『どーもーYKDさん?』
本宮さんの、声がした。
『俺、確かにあんたに伝えたよなぁ? プレゼンは木曜午後3時に変更ってさぁ?』
「い、いえ……私は、そんな話一言もっ……!」
『あんたねえ、自分とこの不手際をこっちのせいにしないでもらえるかなぁ。どうせ男のことで頭いっぱいで、忘れちゃったんだろー? これだから女ってのは困るんだよなぁ。仕事を腰かけ程度にしか考えてねえんだもん』
プツンと、通話が切れた。
ツーツーツーツー…………
カチャカチャと、力の入らない手で受話器を戻して。
重力にまかせて、椅子に崩れ落ちる。
どう、しよう……
プレゼンが、終わってしまった。