カボチャの馬車は、途中下車不可!?
プレゼンの結果落とされたのなら、納得もできる。
ライバル社の案がより優れていた、ということだから。
でも、まだ私たちは何も伝えてない。
何も始まってない。
それなのに諦めろなんて、絶対嫌だ。
「まだ決まってはいないんですよね」
どうせ負けるなら、落ちるなら……やれること、全部やってやればいいんじゃない?
『え? えぇ、まぁ……って、真杉さん、何を考えてるんです?』
何もしないであきらめたくはない。
私はぎゅっと、スマホを握る手に力を込めた。
「大河原部長は、明日……いつでもいいんです。お時間はありませんか?」
『直談判するつもりですか? 日程変更を知らなかったから、と?』
「いえ、それに関しては何も申し上げるつもりはありません。そんな言い訳、聞いてくださるような方ではないと思いますので」
『じゃあ……』
「直接その場で、プレゼンを聞いていただきたいんです」
企画の要点だけでもいい、聞いてもらいたい。
カケラでもいいから見てほしい。
私が言うと。
電話の向こうで、樋口さんが息をのんだ。
『まさか、ゲリラでプレゼンを……?』
「正規の時間をいただこうとは思いません。ほんの数分でも構いませんので」
『ですが……』
その声が曇る。